かい歯科 院内新聞10月号
熊本県歯科医師会会報誌にて熊本県の女性歯科医師の紹介を兼ねたコラムコーナー
「熊歯乙女のひとりごと」で寄稿依頼がありましたので、
そちらに掲載する本文をご紹介したいと思います。
私にとっての歯科開業
この度、本コーナーへの寄稿依頼をいただきました甲斐美和と申します。
平成13年、大阪歯科大卒業後、京都府立医科大学付属病院歯科口腔外科にて研修をうけたものの
血が苦手で大分苦戦し、よろよろと郷里熊本へ戻り数ヶ所での勤務を経まして、平成22年6月、生まれ育った地元玉名市で新規開業いたしました。
大学生の夏休みに、玉名市の城井先生の医院で有り難くバイトをさせていただき、女医としての臨床に携わる姿勢や多くを勉強させていただきました。
主人の都合で東京で勤務医をして、歯科医師って本当にいろいろな人がいるんだな、とつくづく考えさせられました。
開業の準備期間中は天草市で生活をしておりました。天草では中嶋歯科医院に勤務させていただき、地域への貢献精神、治療技術のご指導さらには、開業前から開業後も多大なお力添えをいただきました。
開業準備においては、建築士さん、司法書士さんや銀行などとの打合せに、幼子をダイハツタントに乗せ、幾度となく天草・玉名間を往復しましたことを、今では懐かしく思い出します。ちなみにこのタントは、20万km弱走行いたしました現在も健在で、往診車としてバリバリ現役活躍中、愛着もひとしおです。
親族に医療関係者はほとんどおらず、開業には様々なハードルがありました。
開業自体は、昨年逝去いたしました父の畑地を譲ってもらえて助かったのですが、当該地は「農業振興地域」というものに相当していたため、農業以外での使用が基本的に認められておりませんでした。そこで、この地で歯科開業することが、地域等にとっていかなる意味を持つかを、県や市に理解、納得してもらう必要がありました。
ことにあたっては、父の親友でもあった司法書士さんに大変なご尽力をいただき、どうにか許可がおりました。
旧玉名市役所掲示板に、小さな用紙に許可の旨が掲載してあるのを、大学の合格発表さながらわざわざ見に行ったことも思い出です。
ユニット数2台でのスタート、現在は3台になりました。そして、開業以降の周囲の変化としましては、すぐ近くに九州新幹線新玉名駅の、さらには、ほぼ目の前にくまもと県北病院の建設・始業がございました。
また出産時には、以前本コーナーに寄稿なさった田中先生や熊本大学歯科口腔外科の先生方に代診いただき、大変助けていただきました。
日々の診療でも、当院スタッフに仕事・プライベートともに支えていただいております。
私ひとりではなしえないことばかりで感謝感謝です。
私自身それなりの年齢に達しましたので、体調にも留意しつつ、少しでも恩返しをしていけたらと思っております。